入社後に「面接時と話が違う」と感じて、退職を考える方は少なくありません。労働条件や仕事内容が大きく異なる場合は、立派な退職理由になりえます。場合によっては、会社都合退職になるケースもありますよ。
今回は「面接時と話が違う」と感じる具体的なポイントや、会社都合退職になる事例について解説します。また面接時と話が違う場合にとるべきアクションについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
面接時と話が違うことは退職理由になる?
結論、面接時と入社後の状況が異なるケースでは、退職理由になります。希望していた職種でなかったり、残業が多すぎたりするなど、聞いていた話と大きく乖離する場合は「退職したい」と思うのも当然ですよね。
勤務期間が短いうちに退職すると、今後の転職活動に悪影響が出るのではないかと不安になるかもしれません。
「面接時と話が違う」という理由で退職した場合は、会社に非があると採用担当者に感じさせることができれば、不利になるのを防げるはずです。
【あるある】入社後に「面接時と話が違う」と感じるポイント
入社後に「面接時はこんな話をしなかったのに、思っていたのと状況が違う」と感じることは決して少なくありません。
ここからは、入社後に「面接時と話が違う」と感じる、よくあるポイントについてみていきましょう。
仕事内容が違う
面接時に聞いていた仕事内容と、入社後に任される仕事内容が異なるケースはよくみられます。
例えば与えられる責任の大きさが異なったり、面接時には話が出なかった資格やスキルを求められたりすることなどが挙げられます。
逆に、入社したら関われるといわれていた仕事とまったく違う内容を任されたり、専門性を活かす目的で入社したのに、事務作業しかやらせてもらえなかったりするケースもあるでしょう。
仕事内容が違うことは、働くことへのモチベーションを低下させて「退職したい」という気持ちが湧きやすいです。
面接時に聞いていた仕事内容と異なる場合は、まず会社側に確認しましょう。なぜなら会社の方針で、一時的にほかの業務を経験してほしいと考えているかもしれないからです。
しかし、面接時に聞いていた仕事内容に着手できる目処が立たない場合は、そのままの形で働き続けなくてはならない可能性が高いです。
労働条件が違う
いざ入社してみると、給与や休日、福利厚生などの労働条件が面接時の話と違うなども、よくみられるケースです。
例えば面接時に聞いていた給料より低く、賞与や手当、残業代が出ない、休日の数が話よりも少ない、社会保険に未加入だった、などが挙げられます。
入社前に聞いていた労働条件と異なる場合は、すぐに会社に申し出ましょう。それでも改善がみられない場合は、退職を検討してもよいでしょう。
勤務時間が違う
勤務時間が聞いていた話と異なるケースもよくあります。
例えば9時からの勤務と聞いていたのに1時間早く来ることを要求された、朝礼や雑用で勤務時間よりも30分早く出社しなければならない、面接時はできると聞いていた時短勤務が認められない、などです。
勤務時間には会社の社風が影響しているケースが多いため、会社側に伝えても希望通りになることはあまり期待できないでしょう。
雇用契約書と実態が異なることは違法?
雇用契約書と実態が異なる場合、違法になる可能性があります。
雇用契約書とは、労働条件を示した書類のこと。実際の労働条件と異なる場合は、労働者は明示された条件通りにするように会社に請求する権利が、労働基準法第15条で定められています。
出典:労働基準法|e-Gov法令検索
職種が違う
入社後に職種が異なるケースを経験する人もいます。
例えば営業職として採用されたはずなのに工場勤務を命じられたなどです。面接時に聞いていた話と異なる場合、労働基準法で定められた明示義務に違反するため、会社との話し合いを行いましょう。
給料が違う
前述のとおり、給料や待遇面が面接時に聞いていた内容と実態が異なることも「話が違う」と感じる原因の1つです。
例えばボーナスが聞いていた月分出なかった、残業代が出ると聞いていたのにみなし残業で支給されなかった、などが挙げられます。
給料や待遇面が異なるケースはよくあるため、初任給をもらった時点で雇用契約書と照らし合わせて、面接時に聞いていた話と異なる場合は、会社に確認をとりましょう。
会社や社員の印象が違う
面接時に聞いていた会社や社員の印象が、入社後の実態と違うケースは少なくありません。
アットホームな社風と聞いていたのに実際は体育会系だった、風通しが良いと聞いていたが上司の意見に従わなければならずに苦しい、上司や同僚とコミュニケーションが十分にとれない、などがよくあるケースです。
また、面接官や採用担当者との相性が良くても、実際に仕事をするメンバーとそりが合わない場合もあるでしょう。
会社や社員の印象が違うと、仕事へのモチベーションが下がってしまいますよね。
また働いている人との価値観が合わず、苦しい思いをする人も多いです。退職を検討することは、自分の心身を守る1つの方法になるでしょう。
研修があると聞いていたのにない
入社後のスキルアップを期待していたのに、面接時に聞いていた研修がないケースも存在します。
求人要項への記載があっても、実際は実施されていないこともあるのです。
未経験で入社した場合は特に、研修がないと不安になって退職を検討したくなるかもしれません。
「面接時と話が違う」事態は会社都合の退職扱いになる?
「面接時と話が違う」という状況は、場合によって会社都合の退職扱いになります。
ここからは、会社都合退職について扱うとともに、会社都合にできる「面接時と話が違う」ケースについて解説します。
会社都合退職とは?
会社都合退職とは、労働契約を終了する理由が会社側にある場合の退職を指します。会社倒産や解雇、雇い止め、上司からのパワハラや嫌がらせを受けていたなどのケースが当てはまります。
会社都合退職になるかどうかについては、労働条件に大きな違いがある、会社が虚偽の説明を行った、労働条件の明示義務が果たされなかった、などが考慮されます。
会社都合の退職理由例
会社都合の退職理由の例には、会社の倒産や事業縮小による従業員の解雇、給料が大幅にカットされた場合、労働時間が大幅に増えた場合などが挙げられます。
会社都合退職にできる「面接時と話が違う」ケースとは
「面接時と話が違う」という状況は、必ずしも会社都合になるとは限りません。会社都合退職にできる「面接時と話が違う」ケースは、以下のとおりです。
条件 | 例 |
---|---|
労働条件に大きな相違がある | 面接時に聞いていたよりも給料が少ない。 |
業務内容が大幅に違う | 営業職として採用されたのに、事務職を担当させられている。 |
労働環境が悪い | 面接時にアットホームな雰囲気と説明されたにもかかわらず、実際はパワハラが行われている。 |
会社都合退職になるかどうかは、具体的な状況や証拠に基づいて判断されるため、専門家への相談がおすすめです。
面接時と話が違う場合にとるべきアクション
面接時と話が違う場合、どのようなアクションをとればよいか迷う方も多いでしょう。ここからは、具体的なステップを紹介します。
会社に打ち明ける
入社後に「面接時と話が違う」と感じたら、まずは会社に打ち明けることが大切です。
会社が面接時の話を忘れていて、労働条件や仕事内容に反映されていない可能性があるためです。
雇用契約書・労働条件通知書を再確認する
入社時に受け取った雇用契約書や労働条件通知書を確認しましょう。書類に書かれた条件が今の状況と異なるか、面接時の話と違いがあるかどうかを照らし合わせてください。
求人票の内容が労働条件を書面で表した雇用契約書と異なる場合、労働者は明示された条件通りにするように会社に要求する権利があります。
それでも改善されない場合は、労働者側から契約解除できる旨が労働基準法で定められています。
出典:労働基準法|e-Gov法令検索
労働基準監督署に相談する
会社と交渉しても折り合いがつかない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
労働基準監督署から会社に対して、労働条件などを見直すように勧告してもらえる可能性があります。それでも改善が見込めないなら、転職活動を進めるのが望ましいでしょう。
入社後に「面接時と話が違う」事態に陥るのを防ぐためにできること
できることなら、入社後に「面接時と話が違う」という状況に陥りたくないですよね。
ここでは、そうならないために入社前に押さえておくべきポイントを紹介します。
口コミサイトで会社の評判を調査する
入社前に現役社員や元社員の実際の体験談を確認することで、企業文化や労働環境、上司や同僚の評価、キャリアの成長機会などを把握できます。
口コミを見ることで、企業が提供する情報と実際の働きやすさのギャップを把握し、入社後に「話が違う」と感じるリスクを低減できるでしょう。
また、問題点が明らかになれば、面接時に具体的な質問をする際の参考にもなります。
口コミサイトは会員登録をしないと全口コミを見られない仕様の場合がほとんどで、「面倒くさい」と感じるかもしれませんが、入社後に負のギャップを感じるよりはマシでしょう。
入社後に一緒に働くメンバーと顔合わせをしておく
入社前に将来の同僚や上司と顔合わせをしておくことで、入社後のミスマッチをある程度防げます。
具体的な業務内容やプロジェクトの進め方、日常的な課題などについて直接話を聞くことで、自分がその環境でどのように貢献できるか、またフィットするかを見極めることができるでしょう。
事前の顔合わせは、入社後スムーズに仕事をしていくうえでも重要です。
気になるポイントは詳細に確認しておく
具体的な業務内容や評価基準、給与や昇給制度、福利厚生、勤務時間など、疑問や不安に感じる点を遠慮せずに質問しましょう。
採用担当者によっては、入社前の求職者に、実態とくにマイナスの情報は伏せている場合もあります。
特に、面接官の回答が曖昧な場合は再確認を求め、書面での確認をお願いすることも有効です。
こうすることで、期待と現実のギャップを最小限に抑え、入社後に「話が違う」と感じるリスクを低減することができますよ。
退職理由が「面接時と話が違う」だと転職活動で不利になる?
退職理由が「面接時と話が違う」の場合、転職活動で不利になるか否かは、その理由によって変わってきます。
まず、「具体的に、どの点で面接時の説明と実際が異なったのか」を明確にする必要があります。例えば、業務内容や労働条件が大きく異なっていた場合、それは企業側の問題として理解されることが多いです。しかし、「思っていたよりきつかった」などの曖昧な説明や自己判断による誤解が原因であった場合、次の転職で不利になることもあるでしょう。
採用担当者は、求職者が自身の期待やコミュニケーション能力に問題があると感じると、次の職場でも同様の問題を引き起こすのではないかと懸念します。
そのため、面接時には誤解が生じないように具体的かつ詳細に質問し、確認することが重要です。
また、前職の退職理由を説明する際は、客観的かつ建設的な視点で述べることが求められます。自分自身の責任や誤解が原因であった場合には、その経験をどのように活かして次に進もうとしているかをポジティブに伝えることが大切です。
入社後に、面接時と話が違うときはきっぱり退職するのがおすすめ
入社後に、面接時と話が違うと感じた場合は、一度会社に相談してみましょう。内容によっては、改善してくれるかもしれません。
とはいえ、意見が通って待遇や条件が見直されるケースは稀だといえます。どうしてもそのギャップに耐えられない場合は退職するのも手段の1つです。
ただし、入社から退職までの期間が短いと短期離職扱いになり、転職活動で不利になることもあるでしょう。
そんな方には、短期離職者専門求人サイト「Zerobase」の利用をおすすめします。
Zerobaseの登録企業は、短期離職者対象で求人を掲載しています。そのため、短期離職したこと自体が不安要素にはならなくなります。
昨今では、終身雇用の考え方は薄れており、求職者が企業を選べる時代に突入しています。短期離職の事実は単なるミスマッチだと割り切り、ぜひ新しい1歩を踏み出しましょう。