「入社してから3カ月で辞めるなんて、やっぱり迷惑かな……」
そんなふうに迷って、ここにたどり着いたそこのあなた。
働き始めてまだ数カ月。けれど、もう限界が近い。理由はあるのに、周囲の目や罪悪感が頭をよぎる―。
この記事では、短期間での退職が“なぜ迷惑だと思われやすいのか”、そして“本当に辞めてはいけないのか”を冷静に整理していきます。
1人で抱え込まずに、考えを整理してみましょう。
3カ月で仕事を辞めるのは本当に迷惑？
「3カ月で辞めるなんて迷惑だよな……」と感じる人は多いかもしれません。たしかに、短期間での退職は職場の負担や混乱につながる可能性があり、歓迎されるものではないでしょう。
ただし、すべてのケースで周囲が強く迷惑に感じているとは限りません。意外と本人が悩んでいるほど、周囲はあっさりしていることもあります。
そもそも「3カ月の壁」と言われるように、このタイミングで退職を考える人は少なくありません。入社から3カ月という期間は、実際に働いてみてミスマッチに気づく境目でもあります。
辞めたいと思うこと自体が特別なことではないと知るだけでも、少し気持ちは楽になるはずですよ。
3カ月で辞めることに関する「迷惑」の声
ここでは、実際に3カ月で辞めた人に対する企業側の声と、辞めた本人の声をXから紹介します。
「意識高い系」新入社員が3カ月で辞めるワケ
— 秋田犬 (@akitaken_inu) June 11, 2015
この人すごいわ！とか何かしらの魅力が会社にあったら、今の仕事がつまらなくても頑張れるけどなぁ。未来が描けるもの。
未だに誤解が解けず今度やったらクビとまで言われました。解雇しなきゃいけなのは主任だよ！仕事3カ月で辞めるようなやつ雇うなよ！どんだけ人を見る目がないんだよ！！(T_T)
— あひる (@PrinceSparkl) April 20, 2011
退職者が出る度に社員表作り直してたんだけど、3ヶ月で10人も辞めたので一旦作り直しストップしてたが再開するかね。今後誰が作るんかね。（今日最終日の人）
— べこ (@bekopon) May 9, 2025
入って3ヶ月以内に辞めてる人が応募してきたら、採用側はあぁ試用期間でクビになったか自主退職促されたんかなと思いますハイ https://t.co/sNBZCXFC02
— ヤーコ (@_PinkShells_) May 8, 2025
入社して３ヶ月のやつにそんな重要なデータ任せてないからすごく困るわけじゃないけどさー、辞めるときに備品全部持って帰ったりデータ復元できないように削除してったりいったいなんなんだ…
— саори(saori) (@redtailcat526) April 9, 2019
入社して3ヶ月だけ居た奴がいたけど、下手に中途半端な期間残られると会社側にも同僚にも自分にもデメリットしか残らない。仕事を教えていた3ヶ月がまるまる無駄になるし、その間にできた仕事がたくさんある。合わないと思ったらすっぱり辞めるか自分に合う仕事か考えて入社してもらいたいが本音
— カオナシ (@FaceLessasya) September 15, 2015
3カ月での退職にはさまざまな意見がありますが、思ったより「辞めてよかった」の声が多いですね。一方でやはり厳しい声もあるようです。
3カ月で辞めることで職場にかかる具体的な迷惑
3カ月で退職を申し出ると、「迷惑だと思われそう」と感じるのも無理はありません。実際、職場には一定の影響が出ます。
ここでは、どのようなかたちで迷惑が生じるのかを具体的に整理してみましょう。
教育担当者の時間が無駄になる
新人が辞めるときに最もダメージを受けるのは、教育係を任されていた先輩や上司です。とくに中小企業ではOJT（オン・ザ・ジョブ・トレーニング）が中心であり、日々の業務の合間を縫って教育にあたっていることがほとんど。時間だけでなく、精神的な労力もかかっています。
「やっと一人立ちしそうだったのに辞めるのか」と感じる人もいるかもしれません。本人にそのつもりがなくても、「あの時間は無駄だった」と思われる可能性はゼロではありません。
現場の人員バランスが崩れる
職種によっては、新人1人の欠員でも現場のバランスに大きな影響が出ます。たとえばシフト制の店舗や飲食店では、「ひと枠空くと、その分ほかのスタッフのシフトを増やさなければならない」という事態が発生します。
オフィスワークでも同様に、1人分の仕事を周囲で分担し直す必要があるため、負担感が急に増します。「もう少し頑張ってくれれば助かったのに」という声が出てしまうのも、このような負荷の増加が背景にあります。
採用や引き継ぎに再びコストがかかる
採用活動には、お金も時間もかかっています。求人原稿の作成、面接、書類管理、社内調整など、表に出ない手間も少なくありません。それだけの工数をかけて迎え入れた人材が3カ月で辞めるとなると、「またイチからやり直しか….…」という雰囲気になるのは自然な流れです。
さらに、在職中の引き継ぎもスムーズにはいかないことが多く、「せっかく教えたのに何も残らなかった」と感じる人がいてもおかしくありません。
とくに実害はないが迷惑だと捉える人も
中には、上記のような明確な実害がなくても「短期間で辞めるのは社会人としてどうなの？」という感情的な反応をする人もいます。古い価値観を持つ人ほど、「3年は続けるべき」といった考えにこだわる傾向があり、合理性よりも“印象”で語られる場面があるのも事実です。
ただし、そうした反応はあくまで“個人の感じ方”に過ぎません。辞める側が一方的に責めを負うような話ではなく、働く側と雇う側のミスマッチの1つと考えた方が、現実的で冷静です。
3カ月で辞めることが迷惑だと思われやすい状況・条件
短期間で退職すること自体がすべての職場に迷惑をかけるわけではありません。とはいえ、特定の条件が重なると、「これはさすがに……」と不満に思われやすいケースもあります。
ここでは、迷惑だと感じられやすい具体的な状況を紹介します。
繁忙期や人手不足のタイミングに辞める
職場全体が忙しい時期、あるいは人が足りていない状況での退職は、負担の偏りを生みやすく、迷惑だと捉えられがちです。たとえば、年末年始や決算期などの繁忙期に突然「辞めます」と言えば、「なぜこのタイミングで？」という空気になるのは避けられません。
また、アルバイトやパートなどでシフトが埋まらない状況の中、欠員を出すことでほかのメンバーにしわ寄せがいく場合も、反発が強くなりやすいポイントです。
職場に慣れてきたタイミングでの辞退
入社から3カ月というタイミングは、ちょうど「そろそろ1人立ちできそう」と周囲が期待を寄せ始める時期です。これまで時間をかけて教えてきた内容が、いよいよ実践に活かせるようになってくるフェーズでの離脱は、「あと少しだったのに」という落胆を呼ぶでしょう。
教育係やチームリーダーにとっては、今後の戦力としてカウントしていた矢先の退職ということもあり、「最初からすぐ辞めるつもりだったのでは？」と疑われることもあります。
連絡なし・引き継ぎなしで辞める
退職の仕方によっても印象は大きく変わります。たとえば、無断欠勤を繰り返した末にフェードアウトしたり、退職の申し出から退職日までの間に引き継ぎや挨拶をまったく行わなかったりするケースです。
「せめてひと言あれば違ったのに」と思われるだけでなく、「社会人としてどうなのか」といった話に発展し、個人の印象にも傷がつくおそれがあります。迷惑の程度ではなく、「その辞め方はちょっと……」と感情的に処理されるケースも少なくありません。
【雇用形態別】3カ月で辞める人に対する企業の印象
正社員とアルバイトなど、雇用形態によって同じ「3カ月での退職」でも、企業や職場が抱く印象には差があります。
ここでは各パターンにおける職場側の印象の実態をみていきましょう。
中途入社社員
中途採用は即戦力を前提にしているケースが多く、3カ月での退職は“見込み違い”だったと受け取られやすい立場です。
入社前のスキル確認、面接でのやりとり、入社後の教育コストなど、採用にかかったリソースが大きいため、「なぜこんなに早く辞めることになったのか」と強く疑問を持たれます。
また、退職理由によっては「選考時点で見抜けなかったのか」と社内の人事評価にも影響することもあるでしょう。
新卒入社社員
新卒は「育てていく前提」の採用なので、中途よりも辞められたときの精神的ダメージが大きいことがあります。
企業側としては、「この子のために配属や育成体制を整えてきたのに……」という落胆がつきまといます。
とくに同期の存在があると、「あの人だけ辞めた」という印象が社内で際立ちやすく、フォローに追われる人事や先輩社員の疲弊感も強く出る傾向にあります。
バイト
アルバイトの場合は比較的流動性が高く、3カ月での離脱はそれほど珍しいことではありません。
とはいえ、即戦力としてカウントしていたシフトに穴が開く形になるため、現場では「また人をとらなきゃか……」と負担を感じることもあります。
とくに飲食や販売など、接客が多い業種では、習熟に1～2カ月かかるため、「やっと覚えたところで辞められる」といったもどかしさが残ります。
パート
パートはバイトよりも継続性を重視されやすく、家庭との両立や安定勤務を期待されることが多い立場です。そのため、3カ月という早期の退職は「最初から見通しが甘かったのでは？」という目で見られることがあります。
職場によってはパートでも細かい業務やシステムを覚える必要があるため、教育担当が徒労感を覚えるケースもあります。
派遣社員
派遣の場合、企業と直接雇用契約を結んでいないため、感情的な距離感はやや薄いのが特徴です。
ただし、派遣先としては「短期間で契約終了された=マッチしなかった」という印象が残りやすく、以後の同派遣会社への依頼に影響することもあります。
また、業務引き継ぎの設計がもともと派遣を想定していない部署だった場合、辞めた後に現場が混乱する可能性もあります。
3カ月で辞めても迷惑だと思われにくい退職理由
同じ「3カ月での退職」でも、理由の伝え方次第で職場の印象は大きく変わります。
ここでは、比較的納得されやすく、角が立ちにくい退職理由とその伝え方を紹介します。
明らかな嘘や盛りすぎな退職理由を伝えるのは、さまざまな点でマイナスに作用するのでおすすめしません。
心身に支障をきたしてしまった
体調不良やメンタル面の不調は、無理を続ければ悪化するおそれがあるため、理解を示してもらいやすい理由の1つです。
とくに業務量が多かったり、人間関係に強いストレスを感じていたりした場合、「このまま続けるのは難しい」と判断するのは正当な選択だといえるでしょう。
伝える際は、「医師に相談した結果、休養が必要だと判断されました」「しばらく療養に専念することにしました」など、感情的になりすぎず事実ベースで話すと、納得されやすくなりますよ。
家庭の事情やライフスタイルの急変
家族の介護や引っ越し、生活リズムの変化など、外部要因による事情も退職理由として伝わりやすいものです。
企業としても、本人の力ではどうしようもない事情については無理に引き止められません。特にパートやアルバイトでは、この理由であれば大きな反発は起きにくいでしょう。
「家族の事情で通勤時間の確保が難しくなりました」「育児との両立が困難になり、勤務を続けることが難しいと判断しました」といった言い方が無難です。
ただし、「入社前にわからなかったのか？」といった疑念を抱かれやすい伝え方は避けるのがベターです。
自分の適性とのミスマッチに気づいた
「入社前に思い描いていた業務内容と実際の業務にギャップがあり、悩んだ末に決断しました」という伝え方も、誠実な姿勢が伝われば理解されやすい理由の1つです。
とくに、まだ独り立ちする前のタイミングであれば、「本格的に担当を持つ前に伝えてくれてよかった」と捉えられることもあります。
「期待に応えられる自信が持てず、ご迷惑をかける前に決断しました」と一言添えると、周囲への配慮も伝わりやすくなります。
職場に迷惑だと思われても辞めるべき状況とは
どんなに職場への配慮があっても、自分を犠牲にしてまで続けるべきではないケースがあります。たとえば、パワハラやセクハラを受けている、明らかに労働時間が法律を超えている、休みが一切取れない――そういった状況にあるなら、即日でも辞める決断に迷う必要はありません。
また、「やりたい仕事が明確になった」「ずっと挑戦したかった分野で内定をもらえた」など、自分の将来にとってプラスになる選択肢が見えた場合も同様です。たとえば、今の職場に不満はなくても、長年の夢だった職業に就くチャンスが訪れたときに、それを見送る理由はどこにもありません。
実際、「やりたいことが見つかって留学を決めた」「職業訓練校に通うために退職した」といったケースも多く見られます。一時的に迷惑をかけることがあったとしても、人生の方向性が定まったなら、それは正当な理由になります。
職場の空気や人の目は気になるものですが、ずっとそこに居続けるわけではないからこそ、自分の未来を基準に判断してよいのです。
3カ月で辞める=悪ではない
「たった3カ月で辞めるなんて……」と後ろめたく思う人は少なくありません。
でも、時代は確実に変わっています。昭和的な“我慢と根性”の時代とは違い、終身雇用は崩れ、働き方もキャリアの築き方も多様化しています。短期間で職場を去ることは、もうそれだけで「悪」だとは言い切れない時代です。
実際、同じようにミスマッチを感じて早期に退職した人はたくさんいます。あなたの決断は、決して例外ではありません。
とはいえ、短期離職の経歴があると、選考でつまずきやすい場面があるのも事実。だからこそ、ミスマッチによる短期離職者に特化した転職サービス「Zerobase」のような仕組みが力になります。
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