転職したばかりにもかかわらず、想像していた仕事と異なっていたり人間関係がきつかったりで、既に辞めたい人もいるでしょう。
しかも1カ月で辞めるような超早期離職の場合、履歴書にキズがつきそうで怖いですよね。
この記事では、中途で入社して1カ月にもかかわらず辞めるか悩んでいる方向けに、辞める理由やリスク、影響について解説します。
超早期離職する人の割合
中途で入社して1カ月以内に辞める超早期離職の人は、どれくらいいるのでしょうか。
2020年のリクルートワークス研究所の調査によると、3年以内に離職した人のうち6カ月以内に離職した人を超早期離職者とみなしています。
そのうち1カ月未満が5.2%、1カ月以上3カ月未満は9.9%で、超早期離職した人が一定数いるのがわかります。
仮に1カ月以上3カ月未満で離職した全員が、1カ月間働いてから離職した割合としましょう。
その結果、3年以内に離職するうちの10%が入社して1カ月で辞めているのがわかります。
出典:11.8%が“半年未満”で離職する。「超早期離職」問題|研究プロジェクト|リクルートワークス研究所
中途入社の転職先が「合わない」と感じた人の体験談・口コミ
実際に中途で入社したものの1カ月で合わないと感じた人の体験談や口コミを見てみましょう。
中途で入社しても1カ月で合わないと感じたり、辞めたい・辞めると感じている人は以下のような理由が多いようです。
- 職場の人間関係に苦戦している
- 仕事の内容が合わない
- 激務
中途入社(転職)1カ月で辞める人によくある理由
中途で入社したにもかかわらず、1カ月で辞める人によくある理由は以下のとおりです。
- 教育体制が整っていない
- 明らかにブラック企業
- 入社前に聞いていた雇用条件と異なった
それぞれ説明します。
教育体制が整っていない
1つ目の理由は転職先の教育体制が整っていないことです。
教育体制が整っていないことで、「仕事ができるようにならないから成長を感じない」や、「戦力になれず職場に迷惑をかけている」と感じる方も多いようです。
たとえ、中途であっても新しい会社に入ったばかりでは、わからないことも多いはず。新卒のように社会人のマナーをイチから指導する必要はなくとも、現場に慣れるまでは、OJTやその会社ならではのルールを丁寧に教えてあげる仕組みが必要です。
教育体制が整っていないのには、さまざまな理由や事情がありますが、主に以下のようなケースが挙げられます。
- 「新人は見て学べ」と考える職場環境
- 前任者が引き継ぎをせず在籍社員も確認していない
- 教育係を決めていない
- 教育係の教え方が下手
- 「中途で入社した人はすぐに仕事ができる(即戦力)」と考えがち
教育体制は会社や職場環境で異なります。
教育体制が整っていないのではと感じたら、家族や知人に相談し、客観的にみてどうなのか聞いてみてもよいでしょう。
明らかにブラック企業
2つ目の理由は、転職先が明らかにブラック企業であることです。
例えば、入社1カ月以内に以下のような実態を目にしたら辞める選択を検討してもよいかもしれません。
- 給料の未払いがあった
- 過剰な長時間労働
- 職場でハラスメントが蔓延している
- 休日もひっきりなしに連絡がくる
- 期間内に人が立て続けに辞める
このような職場では、既存の社員が明らかにブラックな実態に「慣れ」てしまっている可能性もあり、入社したばかりの社員に対して「ここではこれが当たり前」「みんなやってる」などの言葉をかけてくることもあるでしょう。
また、「売上やノルマを達成するためには仕方ない」などの言葉で、過酷な環境を強いてくるケースもありますが、健全な勤務環境で実績を出している会社はいくらでもあります。
入社して1カ月で退職する超早期離職とはいえ、ブラック企業では働き続けるのは自身を追い詰める結果になります。
明らかにブラック企業だと感じた場合、転職活動で退職理由を聞かれてもマイナス評価にならないため安心して退職しましょう。
入社前に聞いていた雇用条件と異なった
3つ目の理由は、入社前に聞いていた雇用条件と異なったことです。
業務内容が異なっていた、いきなり自分のスキル外の仕事を任されたなど、事前に把握しておくことが難しいギャップを感じたことのある人は多いでしょう。
しかし、中には「残業代が固定残業制だった」「在宅勤務と聞いていたのに出社勤務だった」など、入社前に聞いていた話と明らかに異なる労働条件だったというケースもあります。
これは非常に悪質な例であり、正当な退職理由になります。
防ぐためには、選考段階で直接確認したり書面の記載をチェックしたりなどが必須です。が、それでも「嘘」にあたる条件で働かせる会社もあります。
【年代別】中途入社(転職)して1カ月で辞めるリスクや影響は?
次に中途入社して1カ月で辞めるリスクや影響を、年代別に分けて紹介します。
30代の場合
30代で中途入社して1カ月で辞めた場合、20代よりも転職活動で不利になりやすいといえます。
理由は30代が20代よりも経験やスキルを求められる点にあります。これまでのキャリアが十分に積まれていれば影響は少ないですが、「1カ月だけ勤務した会社では、得られたスキルはない」と判断されるからです。
ただし、30代はポテンシャル採用が許容される年代であり、IT業界のように人材確保に積極的な業界であれば、未経験でも採用してもらえるケースがあります。
したがって、短期離職しても個人の努力次第でまだ転職が十分可能といえるでしょう。
自己分析や企業研究を入念に行い、次の転職では中途入社して1カ月で辞めない姿勢を見せるのが大切です。
40代の場合
40代の場合は30代よりも転職が厳しくなります。
なぜなら、40代の転職市場では企業側の採用基準が「即戦力になるかどうか」になってくるためです。企業によっては30代まではポテンシャル採用してくれるところもありますが、40代の場合はそうもいきません。
40代は経験が重視され、採用基準が会社に利益をもたらせるかになります。
専門的な知見やスキルを持ち合わせていることが前提なので、転職エージェントを利用している会社であれば、求人の条件が細かくなります。
1カ月で退職した事実を踏まえてキャリア形成を再確認し、企業に利益をもたらせる能力があるかをチェックする必要があります。
50代の場合
50代の場合、中途入社で1カ月で辞めると転職先に制限がかかります。
40代までとは以下のような違いがあるためです。
- 役員のようなハイクラス転職の求人に限られる
- 心から携わりたい仕事に就くのが難しくなる
これまでのキャリアで企業に活かせるものがなければ、希望する仕事に就けず給与が下がる可能性もあります。
老後を考えはじめる年代でもあるため、短期離職をすることは定年退職後の生活にも影響が及ぶかもしれません。
中途入社1カ月で辞める場合の伝え方・退職理由
中途入社から1カ月で辞めるときは、特別なことはせず上司に退職の意思を伝えてから退職願を出す流れが基本です。
しかし、理由によっては引き止めをしてくる人事の方や上司もいるでしょう。
スムーズに辞めるには、以下の退職理由をおすすめします。
- 夢を追いかる
- 体調不良である
- 家族の事情
それぞれみていきます。
伝え方①:夢を追いかける
1つ目は、夢を追いかけると伝えることです。
夢を追いかけるのは人生を豊かにすること、いわばポジティブな退職というイメージを与えることができるので、既存の社員は引き止めにくくなります。
伝えるときは、本気度を示すことがポイント。
夢を叶えるチャンスが巡ってきたことを具体的に伝えたり、最後のチャンスでどうしてもチャレンジしたい旨を伝えたりなど、聞き手の心が動くようにすることが大切です。
また、申し訳ない気持ちを伝える方法も効果的。
夢や目標を明確にして、今後どうしていくのかなど今後のプランを具体的に伝えましょう。
伝え方②:体調不良であることを伝える
2つ目は、体調不良を理由にすることです。
体調不良でも退職を引き止める行為は、会社と上司への評判を落としかねません。
ここでいう体調不良は体のことだけではなく、「心の体調不良」も含みます。
職場の人間関係で悩み、職場に行くのが辛いなどの事情も立派な体調不良です。
単に、職場に行くのが辛いことを正直に伝えるだけでもよいですが、体調が良くなるように治療に専念したい、仕事を辞めてしっかり心と身体を休めたいなど、「辛いからこうしたい」まで、伝えることが大切です。
また、持病があるなら診断書を見せる等の方法もあります。休んでも気分が晴れないようであれば、心療内科で診断してもらうのもありでしょう。
ちなみにですが、体調不良が原因で退職したい場合、診断書は必須ではありません。
伝え方③:家族の事情
3つ目は、家庭の事情です。
理由は1つ目と同様で、会社や上司が介入すべきではない事情という印象を与えられるからです。
退職理由になる家庭の事情には以下のようなものがあります。
- 親の介護に専念する
- 家業を引き継ぐ
- 夫や妻の引越し
- 結婚して家庭に専念する
- 子育てに専念する
ただし、入社して1カ月の短期離職なので、場合によっては「入社前に予想できなかったのか」と思われることもあるでしょう。
そのため、「急にそのような事情が発生した」の要素を含めるのがポイントです。
中途入社1カ月で辞めた場合の履歴書の書き方
「1カ月しか働いてないのであれば、履歴書にわざわざ書く必要もないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、たとえ1カ月で辞めたとしても、履歴書には正直に書くようにしましょう。
なぜなら、1カ月とはいえ、履歴書に空白の期間があった場合、次の選考で何をしていたのか疑問を持たれるからです。
可能であれば退職理由も書くようにして、会社都合でなければ「一身上の都合により退職」と記載するのがベターです。
とはいえ、少なからず転職活動に影響が出るため、履歴書に書きたくない気持ちもわかります。
では、記載しなかった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
1カ月で辞めたことを履歴書に書かないのはアリ?
1カ月で辞めたことを履歴書に書かず、内定・入社まで至った場合、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
- 社会保険の履歴で履歴書との相違に気づかれる
- 経歴詐称になり、内定取り消しや解雇になりかねない
内定取り消しや解雇になれば、また転職活動を始めなくてはいけなくなります。しかも、入社後の解雇であれば、「2社連続短期離職」ということになり、短期離職をしやすいリスク人材というレッテルを貼られることにも……。
入社して1カ月で辞めるのは不運なことだと割り切って、このようなリスクを避けるためにも、正直に履歴書に書きましょう。
中途入社から1カ月後に即日辞める方法はある?
中途入社してから1カ月。辞める意思が固まったなら1日でも早く辞めたいですよね。
しかし、法律上正社員が即日退職することは 難しいとされています。
民法627条には以下のような記載があります。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
<解雇・退職について 第 627条|厚生労働省:労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料>
つまり、「辞めたい」の意思を伝えてから2週間は退職できないということです。これは会社によっては就業規則で1カ月とされている場合もあります。
ですが、退職可能日までの期間を欠勤扱いにしてもらったり、即日退職の合意が会社側ととれた場合は、これ以上出勤しなくてよいとなるパターンもあります。
ですが、退職手続きの事務処理は少なからず必要になるので、全く出社しないで退職するのは難しいと覚えておきましょう。
また、就業規則で退職時の引き継ぎ義務がある場合、出社しての作業が必要です。
辞めるのが言いづらい場合の方法は?
入社して間もないのに辞めたい場合、退職すると言いづらい方も多いでしょう。
どうしても辞めるのが言いづらい場合は、退職代行サービスを利用する手もあります。
総合求人サイト『エン転職』の調査では、退職代行サービスの利用が2%とまだまだ少ないものの、年代が若くなるにつれて利用者が増えています。
料金も2万〜5万円で利用できるため、「直属の上司にはどうしても言えない」「辞めたいなんて言ったら怒鳴られる」など、どうしてもの理由がある場合は、思い切って利用するのもありです。
ただし、退職代行サービスは退職の意思を代わりに伝え、退職の手続きを伝えてくれるサービスであるため、以下の行為は代行してくれません。
- 未払いの残業代の支払いを求める
- 有給休暇の消化の手続き
- 競業避止義務契約書等の取り交わし
出典:『エン転職』ユーザーアンケート|エン・ジャパン
中途入社1カ月であっても辞める選択肢はあり!
中途入社したにもかかわらず1カ月で辞めることについて考えている方向けに、さまざまな角度から解説しました。
結論、理由次第では1カ月で辞めるのも仕方ありません。無理をして辞めずに続けることで、身体や心を壊してしまっては元も子もありません。
とはいえ、短期離職の事実は、次の転職で不利になる要素でもあります。企業によってですが、「次は大丈夫だろう」と感じさせることができなければ、短期離職が理由で内定がとれないことにもつながります。
そんな方には、短期離職者専門の転職サービス「Zerobase」の利用がおすすめです。
「Zerobase」が通常の転職サービスと異なる点は、すべての掲載企業が短期離職者向けの求人を募集している点です。
たしかに、「短期離職」と聞くとあまり良い印象はないですよね。しかし、想定外のミスマッチや体調不良などの、のっぴきならない理由でリタイアしてしまった優秀人材を求めている企業は無数にあります。
短期離職に理解のある企業の求人に、効率よく出会える「Zerobase」で新たなキャリアに踏み出してみませんか?