現在37歳のkanさんは、2年前、35歳の時に1ヶ月という短期間で保育園を退職しました。
5年間の安定した勤務経験を経て、給与アップと環境の変化を求めて転職した先で待っていたのは、書類上の数字とはかけ離れた深刻な人手不足と、子どもの意志を二の次にする「見せかけ」の保育方針でした。
短期離職という決断を「自分を信じた結果」と前向きに捉え、現在は自分に合った園で3年目を迎える彼女に、当時の葛藤と理想の職場を見つけるまでの歩みを伺いました。
Zターン編集部kanさん、本日はインタビューにご協力いただきありがとうございます!Zターンの稲村です。私自身も短期離職の経験がありますので、今日は当時のリアルなお話をリラックスして聞かせていただければと思います。
Zターン編集部kanさんはずっと保育士としてキャリアを積んでこられて、前の職場では5年も勤めていらしたんですよね。そこから転職されたきっかけは何だったんですか?
kan当時は京都に住みたいなという思いがあって、お給料も少し上げられたらいいなと思い、ハローワークで条件に合う園を紹介してもらったんです。
Zターン編集部場所とお金が理由だったんですね。希望を持って入られた職場だったと思いますが、1ヶ月という短期間で退職を考えた最初の「違和感」は何でしたか?
kanまず、圧倒的に職員の人数が足りていなかったことです。保育士の配置基準って決まっているはずなのに、現場に入っている人数が全然見合っていなくて……。
Zターン編集部配置基準が守られていないのは不安ですね……。面接の時などは、人手不足のお話はなかったんですか?
kan書類上は事務員さんなども保育士として数えて、うまくごまかしていたみたいです。外部の監査が来るときだけ事務の人を現場に入れたりして、外から見れば人数が足りているように見せていたんですよね。でも実際は、現場を回す担任の保育士が全然いない状態でした。
Zターン編集部人手不足に加えて、保育方針にもギャップがあったと伺いました。
kanはい。その園は音楽やお稽古事に力を入れていて、外から見ると先生たちもきっちりしていて、とても見栄えが良かったんです。最初は子供の意志を汲み取りながら伸ばしていく方針なのかなと思って入ったのですが、実態は違いました。
Zターン編集部実際はどのような雰囲気だったのでしょうか。
kan保護者さんへの見せ方がすごく上手な反面、中では子どもがやりたくなくても半ば無理やりやらせているような、「圧」がすごい環境でした。見栄えを良くすることばかりに執着していて、子ども第一ではない感じにどうしても納得できなくて……。
Zターン編集部「子供のために」というkanさんの保育観とは、正反対だったのですね。
kanそうですね。保育園はたくさんあるし、自分の感覚と違うところで無理をして子どもに圧をかけ続けるのは、自分にとっても良くないなと思ったのが決定打になりました。
Zターン編集部1ヶ月で退職を伝える際、引き止めなどはありましたか?
kan経験者だったので、「せめて1年は頑張ってほしい」と結構説得されました。でも、自分の中ではもう決めていたのでお断りしました。その後すぐに求人サイトで今の園を見つけたんです。
kanindeedで気になる園を見つけて、まず見学に行かせてほしいと直接電話しました。1ヶ月での離職という経験があったので、次はしっかり自分の目で見極めようと思って、2回見学に行ってから決めました。
Zターン編集部現在はその園で3年目とのこと、本当に自分に合う場所を見つけられたんですね!今短期離職で悩んでいる方へメッセージをいただけますか?
kan自分の直感や「何かおかしい」という違和感は、信じたほうがいいと思います。新しい環境へのストレスなのか、その会社自体が問題なのかを見極めるのは難しいかもしれませんが、「自分が変なのかな?」と思わず、早く区切りをつける勇気を持ってほしいです。
Zターン編集部直感を大切にすることの大切さが伝わってきました。kanさん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
kanさんの体験は、保育業界のみならず多くの職場で起こり得る「書類上の情報と現場実態の乖離」という問題を浮き彫りにしています。特に「事務員を現場スタッフとしてカウントする」といった隠蔽は、プロ意識の高い人ほど察知する違和感です。 彼女の決断が素晴らしいのは、1ヶ月という短期間であっても「自分が悪い」と責めるのではなく、自分の保育観を信じて早期にリセットした点にあります。その結果、現在は3年も続く理想的な職場に巡り合えています。短期離職は決して失敗ではなく、自分を壊さないための賢明な防衛策であり、より良い場所へ向かうための通過点であることを証明してくれたkanさんのご経験でした。