新卒で「社会に貢献したい」という強い志を持って介護業界へと進んだヤマモトさん。
しかし、彼女を待ち受けていたのは、理想とする「尊厳を重んじるケア」と、ベテランスタッフによる「自己流のやり方」との板挟み、そして夜勤による心身の限界でした。
2年間の葛藤の末に退職を選んだ彼女は、その後どのようにして自分らしい働き方を見つけたのでしょうか。
現在はホテルの客室清掃スタッフとして4年以上安定して勤務しているヤマモトさんに、短期離職当時のリアルな心境と、今だから言えるアドバイスを伺いました。
Zターン編集部ヤマモトさん、本日はインタビューにご参加いただきありがとうございます!私自身も短期離職を経験しているので、今日は正解を求めず、当時の率直なお話を聞かせてください。
Zターン編集部では、新卒で介護業界を選ばれた理由から教えていただけますか?
ヤマモト社会に出るにあたって「需要があり、人々に貢献できる仕事」にやりがいを感じるのではないかと思ったからです。それで介護業界に絞って、就職サイトでいろいろな企業を回っていました。
Zターン編集部志望度は高かったのですね。入社前はどのような働き方をイメージしていましたか?
ヤマモト介護というと「汚い」とか「流れ作業」というイメージが強かったのですが、その会社は「人の尊厳を守り、流れ作業にしない介護」を掲げていたんです。そこに魅力を感じて、希望を持って入社しました。
Zターン編集部理想の介護を目指して入社されたわけですが、実際に働いてみて最初に違和感を感じたのはどのような点でしたか?
ヤマモト主任は会社の方針通り「尊厳を大切にするケア」を教えてくれたのですが、パートの方や他から転職してきたベテランの方は、どうしても自分の「自己流」を押し付けてくるんです。
Zターン編集部現場での方針がバラバラだったのですね……。
ヤマモトそうなんです。主任の言う通りにやると、ベテランの方から影口を叩かれたり、いじめられたりするんじゃないかと葛藤がありました。自分を守るためにどう振る舞えばいいのか、半年も経たないうちに違和感を感じ始めました。
Zターン編集部その違和感を抱えながらも、2年間続けられたのですね。最終的に退職を決めた決定的なきっかけは何だったのでしょうか?
ヤマモト精神的な疲れに加えて、身体的な限界が大きかったです。夜勤が多くて生活リズムが崩れ、今まで健康だったのに動悸がし始めたりして。「私ってこんなはずじゃないのにな」と、体調の悪化をきっかけに決断しました。
Zターン編集部深刻な人手不足の業界ですが、辞めると伝えた時の会社の反応はどうでしたか?
ヤマモト「人が足りなくなるから辞めないでほしい」とかなり引き止められましたが、自分の中ではもうそこに留まる気は全くなかったので、バッサリとお断りしました。
ヤマモトまずは生活リズムを取り戻すために、精神的にも身体的にもしっかり休もうと決めていました。失業保険をもらいつつ、貯金を崩しながらハローワークでゆっくり仕事を探しました。
Zターン編集部その後、ホテルの客室清掃スタッフとして働かれ、今はもう4〜5年になるのですね。今の仕事との相性はいかがですか?
ヤマモトかなりバランスよく続けられています。自分に合っているなと感じますし、前の職場とは全然違いますね。現状、退職は全く考えていません。
Zターン編集部素晴らしいですね!今振り返ってみて、2年で辞めたことはどう感じていますか?
ヤマモト本当は3年くらいは続けたいと思っていましたが、自分の心身のことを考えると、あの時辞めて良かったんだと思います。これ以上続けていたら、もっと悪くなっていたはずですから。
Zターン編集部後悔はない、とういうことですね。当時の自分や、今短期離職で悩んでいる新卒の方々にメッセージがあればお願いします。
ヤマモト「若いうちは色々な世界を見て、挑戦して、やりたい仕事に就けばいいんだよ」と言ってあげたいです。一人で殻にこもらず、誰か自分のことを分かってくれる人を見つけて喋ってみてください。意外と通じ合える人がいて、何かが変わるかもしれません。
Zターン編集部温かいアドバイス、ありがとうございます。山本さん、本日は貴重なお話を本当にありがとうございました!
一度立ち止まり、1年という時間をかけて生活リズムを整えたからこそ、今の「自分に合う仕事」に出会えたのでしょう。短期離職は決して失敗ではなく、広い世界の中から自分に最適な場所を見つけ出すための、前向きな「軌道修正」であると教えてくれるインタビューでした。